TKG PRIVATEERS RALLY PROJECT

ラリーにプライベーター参戦する日々を綴るブログ

Rally Monte-carlo Historique その5

今回はフランスを走って感じた、現地の文化について書きたいと思います。
1/24〜2/8の約2週間クルマに乗りっぱなしで計4000kmほど走ってきた訳ですから、クルマに対する考え方の違いについては少なからず感じるところがありました。

・日本は管理主義/欧州は自己責任
前々からこれは感じていることですが、欧州は制限速度が基本高めに設定されています。高速は最高130kmh制限、田舎道は80kmh制限です。
高速道路は日本より真っ直ぐで広い気がするので分からなくは無いのですが、田舎道は日本人ドライバーにとっては時に危険でしょう。
例えば、80kmh制限の田舎道の中にも30kmhに減速しないと曲がれないようなコーナーが多数あります。センターライン、ガードレールが無い1.5車線道路で道からこぼれると木に激突するような道もあります。そんなところは「コーナー以外のところまでゆっくり走るとかったるいから80kmh制限にしてあげるよ。でもその代わりコーナーは自己責任でね♩」という意図が見えます。

また、郊外は交差点に信号機が殆どなく、ラウンドアバウト(いわゆるロータリー交差点)があることも大きな違いでしょう。説明はWikipediaに任せるとして、ラウンドアバウトは中にクルマがいなければノーストップで右左折、Uターンができるので非常に合理的なシステムです。しかし、クルマの切れ目に入る際の進入のタイミングは各ドライバーの判断に委ねられ、下手なタイミングで入ると即衝突事故に繋がりかねません。システムで安全を保証するよりもドライバーに保証させる考え方です。
踏切も制限速度のダウンはありますが一時停止がありません。しかし、踏切の前は必ずクランク方向のカーブがあり、線路の方向を見る工夫がされています。

ドライバーがドライバーらしくいられるのは欧州なのかもしれません。

 

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フランスの踏切/道路の配置例

異常に速い一般ドライバーもいました。
レキ中に80kmh制限で60kmhぐらいで曲がれるコーナーが続く片側1車線の楽しい田舎道を走っていたときのこと。後ろからベンツAクラスらしきクルマに煽られました。
とりあえず、道を譲って追いかけてみました。ところが、27で本気で追いかけても、全く追いつけない。こちらはスタッドレス、あちらがラジアルだったとしても相当なスピードでした。やはり、現代のクルマはボデー剛性も高く、足回りも良くできているから?
にしても、ドライバーの腕は認めざるを得ませんでした。

また、別の道でやたら車高が高いクルマに煽られました。譲ってみたら、後輪がダブルタイヤのベンツの中型トラック。空荷で走ってましたが、加速もむちゃ速いし、コーナーも追いつけない。WRCドライバーが乗っているのではないかと海野さんと仰天しました。

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・見栄をはらない、ケチるべきところはケチる
日本ではクルマは日常の道具である一方、ステータスを示すものでもあります。
例えば、東京では年間1000kmも乗らないのに、わざわざ税金の高いベンツやBMWを玄関に置く方が多くいますし、郊外でも3〜5年で新車の国産車を乗り換える方は多いのではないでしょうか。
フランスの郊外では15年前ぐらいのクルマをみんな平気で乗ってます。ドロドロに汚れても洗車はそれほど頻繁にしませんし、派手な傷でなければ板金もしません。クルマは道具なのです。さりとて、毎日使うもの。求められるのは見た目の派手さではなく、価格の安さ、ランニングコストの安さ、扱いやすさなのだと思います。
日本車に比べて、欧州車が扱いやすい/便利かというと必ずしもそうではありません。しかし、彼らは特定のポイントに関しては不便も甘んじて受け入れるところがあります。その基準が何なのはわかりません。しかし、ことクルマに関しては、多少不便でも今まで使い慣れたものが使いたい、そんなこだわりが感じられます。

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・重い!ムズイ!わからない!
ノブを回しても扉が開かないと思ったら・・・、ただ重いだけだった
スイッチが壊れていると思ったら・・・、しっかり力を入れて押せていなかった
宿のお風呂で・・・なかなかちょうどいい湯加減にならない、シャワーはどうやって出すの?
宿から出るときに・・・自動ドアを開けるスイッチが見つからない
宿のエレベーターで・・・スイッチはどれを押せばいいの?
洗濯したいけど・・・メニューが絵で示されているが何を示しているかわからない

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私が現地のインタフェースに慣れていないだけなのかもしれませんが、不便は多くありました。
インタフェースの設計としては日本ではアウトなんでしょうけど、あんまり向こうでは気にしないみたいです。
特に操作が「重い」点は注目ポイントです。重厚なドア、重い皿などなど、重いことが「許される」もしくは「美徳とされる」ものって案外あるのかもしれません。

 

フランスの文化の考察が一番長くなってしまいました。
次回はいよいよ本番に入ります。